KIYOKAWA KOSUKE YAMAGUCHI MOTOHIRO
KIYOKAWA KOSUKE
YAMAGUCHI MOTOHIRO
清川甲介さん 清川甲介さん
山口素弘さん 山口素弘さん

株式会社コプロ・ホールディングス
代表取締役社長

清川 甲介

名古屋グランパス
執行役員ゼネラルマネジャー

山口 素弘

SESSION4

2006年にたった2名で創業した会社を、今ではグループ全体で従業員数2,000名超に成長させ、東証一部・名証一部上場も果たしているコプロ・ホールディングス代表取締役社長の清川甲介。現役時代はクラブ・日本代表の双方でチームの舵取り役を担うボランチとして活躍し、引退後は横浜FC監督などを経て現在は名古屋グランパスの執行役員ゼネラルマネジャーを務める山口素弘。強い「志」を胸に、多くの人々の期待を背負いながら組織を率いる二人が、志事の流儀を語り合う。

志事の流儀

志をもって事を成す。

流儀1

流儀1

志を抱く。

清川:私は昔からのサッカーファンで、こうして山口さんにお会いすると、やはり「伝説のループ(※)」を思い出さずにはいられません。リアルタイムで見ていました。ボールがキーパーの上をふわりと越えてゴールに吸い込まれていく……あの瞬間は本当に鳥肌が立ちました。

※1998 FIFAワールドカップ・フランス大会アジア最終予選の対韓国戦で決めた山口が決めたループシュート。日本サッカー史に残る名シーンの一つとして語り継がれている。


山口:もう20年以上前のことになりますが、今も多くの方からそう言われます。ただ、あの韓国戦は逆転負けをして、その後もなかなか勝ち点を積み上げることができず、アジア最終予選は日本代表チームとして本当に苦しい時期でした。


清川:当時はメディアもファンもピリピリしていて、選手の皆さんは相当追い込まれた心境だったはずです。しかし最後は、日本中のサッカーファンの悲願だったワールドカップ出場を成し遂げてくれました。想像を絶する重圧があったと思いますが、なぜ乗り越えることができたのでしょう。


山口:「ワールドカップに、絶対に行く」という気持ちの強さにほかなりません。子どもの頃から夢見てきた舞台ですし、自分たちが予選を突破できるかどうかが、日本サッカーの歴史も大きく左右するという自覚を持って闘いに臨んでいました。


清川:ワールドカップ初出場を実現した背景には、日本サッカーの未来を見つめた強い意思があったのですね。私は、何か事を成すにあたっては、「志」を持つことが非常に重要だと考えています。コプログループでは「仕事」の「仕」を「志」に置き換えた「志事」を共通言語としています。与えられたことをこなすだけでなく、自らを成長させ、相手の期待を超える感動を提供できるよう努める、それが志事です。当社の創業も、私が人材派遣ビジネスの社員定着率の低さに疑問を感じて「派遣業界を変えたい」「技術社員ファーストの会社を作りたい」という志を抱いたことがきっかけでした。

流儀2

流儀2

支えてくれる人の声に応える。

清川:山口さんはゼネラルマネジャー(以下、GM)として今、どのような志を抱いていますか?


山口:「これがグランパスのサッカーだ!」と明確に打ち出せる「色」をつくっていきたいと考えています。海外ではクラブごとにサッカーのスタイルがはっきりしているんですよ。例えばスペインのFCバルセロナであれば、テンポ良くボールを回すパスサッカーが伝統として息づいています。


清川:山口さんはどのようなサッカーをグランパスの色にしていきたいとお考えですか?


山口:それは何年もかけて追い求めて、初めて明確になってくると思います。ただ一つ言えるのは、先ほど清川さんがおっしゃった「期待を超える感動」を私たちもファミリー(※)に提供し続けていきたいと考えています。そのためには、選手一人ひとりがどんな状況でも最後まで闘い抜く強い気持ちを持つこと。ストイコビッチ監督の下で優勝した時のスローガンが「NEVER GIVE UP」でした。そのような強い志こそが、グランパスの色を形づくる土台になるはずです。

※グランパスではサポーターのことを「ファミリー」と呼んでいます。


清川:「期待を超える感動」を提供するにはまず、期待の内容を知ることが大切になりますよね。


山口:その通りです。基本的には勝つことが求められますが、「単に勝利だけを追求するのではなく、ワクワクするようなサッカーが見たい」という声もあります。勝てないときには厳しい声も届きます。耳の痛い意見も含めてしっかり聞きながら、プロサッカークラブとしてファミリーの皆さん一人ひとりの思いに応えていきたいと思います。


清川:応援してくれる方々に向き合い、その声をしっかりと聞き、応えようという姿勢に、とても共感します。私たちの「コプロ」という社名も、技術社員、お客様、そして社会の期待に「応えるプロ」でありたいという思いから名付けたものです。志を持つことは大切ですが、経営者が独善的にそれを追い求めていては社員もお客様も幸せにできません。人の思いに応えながら志を追求する経営者であることを常に心がけてきましたし、これからもそうありたいと考えています。

流儀3

流儀3

自己を見つめ、人間力を高める。

山口:人材派遣では、派遣する社員の質が特に重要ですよね。社員教育では、どのようなことを大切にされていますか?


清川:それについては一言に尽きます。「人間力を高めること」です。これは創業当時から一貫しています。技術社員が取り組む施工管理も、営業担当が取り組むお客様との交渉も、知識や経験だけで進めることはできません。いずれも人を相手にします。人を動かすには、まず、人の心を動かす必要あります。自らの人間力を高め、人として信頼を得ることが良い志事につながります。


山口:実はグランパスアカデミーも「人間力」を理念の一つとして掲げています。ビジネスもサッカーも、まず一人の人間としてのあり方が問われるのは同じですね。


清川:そう思います。ただ、人間力という言葉をどう解釈し、どう伝えるかは、とても難しいですよね。このテーマについて、創業から社員が増えていく過程で一度壁に突き当たったことがあります。自分で「人間力を高めよう」と呼びかけているのに、私自身が「人間力とは何か」の答えを持っていないことに気付いたのです。このままではいけないと外部研修を受けたことがありました。そこで分かったのは、人間力を高めるためには自己理解を深める必要がある、ということです。自分が人からどう見られ、受け止められているかを知ることが、人間力の向上には欠かせません。


山口:その解釈も私たちの考えに似ています。私たちは「自己分析と自己表現のできる選手」が人間力の高い選手だと考えています。自己分析をしっかりとする選手は「足が速い」「左足が得意」といった自分の特長を理解して伸ばせます。それをプレーで積極的に表現できるし、足りないところを補うこともできます。だから確かな成長につながるわけです。アカデミーではそのような意識を持った選手を一人でも多く育成することを目指しています。


清川:逆に言うと、自己分析・自己表現のできる選手は少ないのですか?


山口:近年では選手の自主性を大切にした指導が日本でも広がりつつありますが、私が10年ほど前に国内外のサッカー教室を視察したときの実感としては、海外と違って日本の子どもたちは試合中にベンチの方ばかり見ていて、その視線の先では監督・コーチがずっと指示を出している、という印象でした。これでは自分の特長を知り、自分を表現する力を伸ばすことができません。だからアカデミーではピッチ上ではもちろん、普段の生活においても自主性・主体性を育むことを大切なテーマにしています。それが自己分析・自己表現する力の向上につながっていくと考えています。

流儀4

流儀4

球際に強くなる。

清川:「球際の強さ」という言葉も、海外と日本の選手の差としてよく使われますよね。最近私は研修や会議でよくこの言葉を用いるんです。「もっと球際に強くなろう」と。サッカーにおいて戦術はとても大事だと思いますが、その前にまず1対1の局面での攻防に勝てなかったらどんな戦術も成り立ちません。会社組織にも同じことがいえると考えています。


山口:面白い視点ですね。コプロさんのビジネスにおける「球際」とは、どのような場面ですか?


清川:一つ例を挙げるなら、営業担当とお客様の交渉です。どうすればお客様と信頼関係を構築し、「ぜひあなたに頼みたい」と言っていただけるか。これはある意味、お客様との勝負です。一度交渉がうまくいかなかったからといって引き下がっていては、ボールを取ること、つまり信頼を得ることはできません。情熱をもって、粘り強く。転んでも、何度でも立ち上がり、泥臭くがんばることです。私自身、営業として社会人人生をスタートさせたので、その大切さは強く実感しています。


山口:そうなんですね。私も選手たちにこう話しています。球際で負けないこと。走り続けること。気持ちで負けないこと。この3つがあっての戦術だぞ、と。選手の価値は「苦しい場面で何ができるか」で決まると考えています。0対3で負けている試合中に、あきらめてしまう選手なのか。1点でも取り返そうと歯を食いしばる選手なのか。プロとして生き残る選手は後者です。


清川:根性論が否定される風潮がありますが、志を成し遂げるために最後の一歩、足が出るかどうかはやはり根性にかかっていますよね。コプロは「技術社員ファースト」という志を具現化し続けるために、技術社員それぞれが、自分のライフスタイルに合わせて選択できる、多様な志事環境を提供することを常に目指しています。そのためには派遣業務の案件を獲得する営業担当の活躍が欠かせません。だから営業担当には「球際に強く」と、いつも発破をかけています。

流儀5

流儀5

未来の姿を見つめる。

山口:コプロさんのこれからの展望は?


清川:まさに今、検討しています。3年後、5年後、10年後の当社のあるべき姿を示す中期経営計画の土台を「価値創造ストーリー」と名付け、作成を進めています。これまでの会社の成長過程、培ってきた強みなどを整理した上で、今後私たちはお客様にどのようなサービスを提供し、それらを通じてどのような価値を創造し、社会に提供していくのか、プロジェクトチームを作って議論を重ねています。いわば当社の志を改めて見つめ直す取り組みです。


山口:グランパスも同じようなプロジェクトを進めていて、2022年にチーム創立30周年を迎えるのを機に「20年後のあるべき姿」を検討しています。大きなテーマは「ファミリーの裾野をいかに広げるか」。東海圏、関東、さらには日本全国でグランパスファンをどう増やしていくかを議論しています。海外進出も視野に入れ、まずはアジア圏に名を広げていきたいと考えています。


清川:アジア進出については当社も同じビジョンを持っています。ぜひ力を合わせていきたいですし、私たちも負けていられないな、と気持ちが引き締まりました。私はいつかグランパスがヨーロッパの名門クラブと肩を並べるような存在になることを期待しています。ぜひこれからもグランパスの未来への道を示し続けてほしいと思います。


山口:ありがとうございます。私も今回、清川さんとお会いできたのは非常にうれしく思っています。とにかく熱量がすごいですね。私もGMとして熱をもって取り組んでいるつもりでしたが、清川さんにお会いして「もっと熱く挑まなくては」と刺激を受けました。交流を深めて、互いにスタッフの人間力向上を図っていけるといいですね。


清川:それはぜひ実現したいですね。今後も志を熱く語り合っていけたらと思います。本日はありがとうございました。

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